What matters most to you and why?
先週、フランスを訪れた際、パリのMBAに留学している友人達と飲んでいた時に、タイトルのQuestionが話題に登った。 その席で、彼に尋ねられ、自分のキャリア選択の理由を説明したが、まだ自分の中で昇華しきれてないんじゃない?とのことで、もやもやしたので、このQuestionについての思考をメモ。
What matters most to you and why?
まず、概要はこういうもの。
- Stanford MBAの悪名高き(?)Mission Statement Question
- MBAだけでなく、転職・新卒採用の場でも使われている(のを幾度か目にした。)
- 具体的には、以下の2パートから構成
- 自分にとって最重要とされる価値(Achievement/Relationship ( Family, Friendship, Partner,,,)/etc)
- その理由。多くの場合、”原体験/personal story”と、それが現在の自分(の行動/決断/振る舞い)にどう影響をあたえたか。
キャリアを語るアプローチ
キャリアの語り方に正解はない。キャリアや価値観を考える/整理して伝える、アプローチは複数存在する。 たとえば、
- 機能的/山登り的:目標達成志向。xx年後に、xxxを成し遂げたいから、自分は今xxxをする、という語り方
- 演繹的/川下り的:一番夢中になれるxxxをしていたところ、xxxがきっかけで、次にxxxに興味が移り、という語り方
またそれとは、別に女性に多いが、
- 在り方志向:自分の中で大事にしたい在り方(プライベートとのバランス/面白さの絶対値/同僚/etc)を満たす場を選択するという決め方
というのもある。
キャリアストーリーを語る意味
正直キャリアストーリーなんてものは極めて、プラクティカルな存在で、
- 内的には、モチベーションレバー
- 自分がintuitiveに自分が成すべきこと/向かっている方向性を信じるためのもの
- 辛い時/プラトーの際に、立ち返って自分を奮起させて、パフォーマンスを高めるためのもの
- 外的には、コミュニケーションツール
- 自己紹介
- プレゼンの導入、共感ツール
- 起業家の資金調達、メンバーを口説く/アツくさせるため手段
- …
に過ぎないだと思ったりもする。
ようは、自分の根っこがどうあっても(たとえ人に誇れないようなものであったとしても)、
- 自分の中で日々のモチベーションやパフォーマンスが高く保つ事が出来たり
- 外的に何かしらのプレゼンテーションストーリーを作ることで、人を動かすことが出来る
のであれば、そんなものどうでも良いという考え。尤も、往々にして取り繕って語っているストーリーだと、自己嫌悪に陥ったり、見透かされて人を動かせないのが良くあるオチでもあるが…
キャリアストーリー沼に嵌まる弊害
こう考えるようになったのは、この手のQuestionは鬼門で、有害なことも多いから。
採用面接時に聞かれるので世に跋扈しており、極めて重視されることが多い。そのため、みんな必死で解を出そうとする。(友人の中には自己分析を一万字書いたと自慢する不思議な奴もいる)そのくせ、Questionへの解が出しにくいから、「自分が何がしたいか分からない」と悩む人が、学生に限らず多い(まあ自分もよくふにゃふにゃふさぎ込んでいるし、それにより多大な時間を無駄にしてきたと自負している)。この悩んでいる期間というのは、極めて生産性が低い上に、周りから見ても正直ネガティブに見えるだけなので、百害あって一利なし(だと最近は思っている)。
というのは、
- 対象へのモチベーションや愛着というものは、あくまで関わっていく中で生まれていくものであって、原体験や具体的な世界とのつながりもなく抽象的にメタに悩んでいても何も生まれない。
- おおむね学生レベル、あるいは抽象的なレイヤーで悩んでいる状態では、そもそも情報量が足りていないので、精緻な意思決定も出来ない。
というところ。
「自分探しより問題探し」
であれば、手持ちの玉の中で一番しっくりくるものに対して、まずは、大胆にストーリーを描ききる。そして動いていく過程で、仮説修正的に「やりたいこと」をブラッシュアップしていけば良いのではと思っている。そうすれば、
- 情報量が飛躍的に増えるので、「自分がそもそもそれをやりたいのか」という判断/志向がよりクリアになる。具体的なもの/人/環境に触れていく中で、価値観も自ずと浮き上がっていくはず。
- その道にさらに進みたいのであれば、実現したいことの解像度も上がる。
- 踏み込む過程で人や組織と関わりを持つので、ネットワークも自然とできる。
もちろん、これが正解だと言うつもりはないが、ぐじぐじ何がやりたいか悩むより、少しでも食指の湧くものに食いついてみる、そこで四苦八苦している中で、自ずとnext stepが見えてくる、最近はそういう心づもりでいる。
ある投資家の言葉を借りると、「自分探しより問題探し」